大学時代の友人と30年振りに会った。
最後に会ったのは、大学卒業して故郷静岡に戻り、2年働いてから再び茨城に引っ越してすぐだったと思う。
平成3年くらいだと記憶している。
正直会うまでは心配だった。
30年の月日というのは長い。
30年で人間は変わる。
昔の彼ではないかもしれない。
そんなことを思いながら、待ち合わせのレストランの駐車場に行った。
駐車場の車の中にいる彼はすぐに分かった。
体型も服装も大学時代と一緒だった。
細身で、いつも濃いグリーンのミリタリーコートを着ていた。
変わったことは髪がすっかり白髪になっていた。
レストランではコーヒーだけで3時間も話してしまった。
お互いの30年間を話をした。
彼は大学を卒業して、土木の設計コンサルタント事務所に入ったこと。
仙台、東京、大分と転勤して、10年前の46歳で重い脳梗塞になり、会社を辞めたこと。
身体障碍者として暮らしていること。
茨城の実家に戻り、母親と2人暮らしであること。
今も細々と設計の仕事を続けていること。
そして結婚はしなかったこと。
話しているうち大学時代のことが脳裏に浮かんできた。
彼とはクラスも一緒、アルバイトも一緒だった。
研究室は違ったけと一緒にいた時間は一番長かった。
彼は神経質な性格で、理屈っぽいことを思い出した。
納得しなければ動かないタイプ。
それが彼の良さでもあった。
だから彼女ができなかった。
料理が上手で、中華鍋1つで何でも料理をしていた。
しかし、掃除をしないので下宿の部屋はゴミ屋敷であった。
彼の部屋に入るときには、ゴミをかき分けて座った。
あのときは楽しかった。
何をやっても失うものもなく、気軽に行動できた。
あれから私の社会人生活は始まったことを思い出した。
あのときの気持ちを思い出した。
私たち世代は定年までのカウントダウンが進んでいる。
もう少し頑張ろうという元気が出てきた。