通勤電車の中でふと目を上げると、引っ越し業者の中吊り広告があった。
自分は人生で何回引っ越したのかを数えてみた。
10回引っ越しをしている。
高校卒業と同時に家出同然で飛び出し、61歳の現在に至っている。
今までのことが走馬灯のように頭に浮かんできた。
引っ越しは人生の転機に伴うものが多かった。
進学や転職や結婚や出産などである。
横浜から静岡に引っ越したときには、軽トラックの赤帽便を利用した。
軽トラックの助手席に乗り、東名高速道路を走っていたときに、富士山が綺麗に見えた。
故郷に戻ってきたという感じがした。
静岡から茨城に引っ越したときには、自分でレンタカーを借りた。
2月の寒い日であった。
東名高速道路を走っていたときに、大きな富士山が綺麗に見えた。
未だにその雄大な富士山が脳裏に焼き付いている。
忘れられない。
なぜか運転しながら涙が流れた。
故郷を離れる侘しさがあった。
今まで住んだアパートの名前を未だに全部覚えている。
間取りも全部覚えている。
それと同時に思い出もある。
現在の自宅には25年間住んでいる。
次男と2人だけの生活になった。
もう引っ越しはしないであろう。
現在の自宅は私の終の棲家になるであろう。