高校時代の親友が故郷の高校の校長をやっています。
彼に頼まれて年に4回、学校連絡協議会に参加しています。
はるばる新幹線と在来線を乗り継いで3時間以上かけて出張しています。
昨日は、今年で2回めの会議に参加しました。
今回は、授業を見学して、改善案を挙げるものでした。
実は、この高校には、高校時代の同級生が3人教員として勤務しています。
親友の校長以外の2人とは、高校の卒業式以来42年間も会っていません。
教室を回りながらドキドキしながら授業を参観しました。
20~40歳代の先生は、iPadのデータを単焦点プロジェクターに投影して上手に授業をしていました。
教科書などは使わないです。
先生が用意したプリントに生徒が記入して勉強しています。
高校1年生は全員iPadを持っていました。
先生は黒板に板書することなどしません。
資料を投影するだけです。
たまに先生が板書しますが、それを生徒はiPadのカメラで撮影していました。
ある教室に古典の授業をやっている痩せた白髪の教員がいました。
ひたすら黒板にチョークで書いていました。
昭和の時代に戻ったようなクラスです。
先生の顔を見ると、はるか昔の高校時代の面影が蘇ってきました。
同級生の●君でした。
高校の卒業式以来の再会ですから42年ぶりになります。
相手も私に気付いたのか、授業をやりながらもチラッと私の方を見ていました。
私たちを案内している教務主任の先生に、授業をやっている先生の名前を聞いてみたら、
まさしく同級生の●君でした。
教務主任の先生が私に、「●先生は今年で終わりなんですよ。」と言ってきたので、
「彼は私の高校時代の同級生なんです。」と言ったら驚いていました。
私のことをもっと若く思っていたようでした。
親友の校長に聞いてみたら、「●君は体を悪くしていて、毎日透析をしながら授業をしています。」と言っていました。
幸いなことに、●君が顧問をしている文化部の部活が、今年の全国大会で2位になったそうです。
有終の美を飾れました。
私は会議が終わったらすぐに学校を去ったので、同級生と話ができませんでした。
正直言って、会ったとしても42年間の空白を埋めることができるかどうかが不安です。
痩せて白髪の●君を42年ぶりに見て、この42年間の紆余曲折が走馬灯のように頭に浮かんできました。
教室の後ろで、少しうるっとなりました。
高校生の前で視察の人が泣く訳にはいきません。
天井を向いて、涙をこらえました。
われわれ還暦の世代です。
みんな今年度で人生の一区切りがつきます。
来年は自分もどうなっているか分かりませんが、還暦過ぎたら自分の人生の最終コーナーになりますから、ラストスパートをかけたいと思いました。
死ぬときに悔いの無い人生だったと思いたいです。