糸が切れた凧の毎日

これまで散々世間に迷惑をかけてきたので、これからは世間に恩返しをする番だと思っています。 周りの人の心に火を灯し、少しでも元気になってもらえれば、私も元気になれます。

老後の人生とは何なんだろう

いつも行く理容室があります。

独身時代から通っているのでかれこれ30年以上通っています。

行く頻度は6~7週間に一度です。

私は何度か引っ越しをしたのですが、理容室を変えるのが面倒で、いつもそこに通っています。

今では車で30分間くらいかけて通います。

気心が知れた店主なので安心して任せられます。

70歳を過ぎています。

今日はその理容室に行ってきました。

完全予約制です。

以前は予約で満杯で、理容師の奥さんも一緒にやっていたのですが、今では客足が3分の1に減って、体力も衰えているので週の半分しか店を開かないとのことでした。

奥さんは介護の仕事をしているそうです。

いつものように理容室に着いて、席に座ると、店主がボソッと言いました。

「歳を取ると、毎日が淡々と過ぎて行く」

そんなことを言う人ではないので少し驚きました。

ひょっとしたら気心知れた私だから言ったのかもしれません。

「目標を持てば良いのではないですか?新しい髪型に挑戦するとか・・・」

私は店主を励ますつもりで言いました。

前回話しをしたときに、奥さんが癌で手術をした話をしていたことを思い出しました。

店主も坐骨神経痛で足が動かなくなってきたとも言っていました。

2人のお子さんは独立して、お兄ちゃんが理容師に、妹さんは学校の先生をやっているとのことです。

今回もいろいろな話をしていて、ひょっとしたら引退を考えているのではないかと察しました。

この30年間でいろいろなことを話しました。

店主は宮城県の工業高校を卒業して上京し、コンビナートで働き、退職して美容学校に通って理容師になったとのこと。東京の世田谷の理容室で長いこと店長をして、茨城で自分の店を持ったこと。

子育てのことなども話しました。

こんな弱気な店主を見たのは初めてでした。

会社勤めではないので定年退職はありません。

店主は自分の定年は自分で決めなければなりません。

辞めどきが分からないのだと思います。

理容室を二人三脚でやってきた奥さんが病気になったことが、気落ちする原因だと思いました。

店主は、既存のお客さんだけを義務でこなしているのかもしれません。

私のように何十年も通ってくるお客さんのために店を開いているのかもしれません。

しかし、店主が何十人かの人から必要とされていることは事実です。

昭和の時代の頑固な親父さんです。

以前話したときには「仕事が生きがいではない」と言っていましたが、それは照れ隠しで、仕事が生きがいなのだと思います。

自分に置き換えたときに、「自分の生きがいって何だろう?」と思います。

金を稼ぐためだけに仕事をしているのは虚しい働き方だと思うようになりました。

私を必要としてくれている人はいるのだろうか?

そんなことを思うようになりました。

これからどう生きるのか悩みます。