希望の部署に人事異動ができた。
役職定年まで、あと2年間だから最後の人事異動であろう。
部下は20人ほどいる。
嘱託社員や派遣社員を入れたら30人ほどである。
役職者として最後の勤めで実績を上げて、役職を降りたい。
私の役職者としてのスタイルは、自分が手本を見せて、その後は任せるタイプ。
私は自分ができないことを他人に任せることができない。
理想論ばかり唱えて実績を上げることができない役職者を見ると納得がいかない。
出世するためには、実績を上げなくても上司に胡麻を擂れば良いのであるが、それができない性分である。
仕事に全力投球をしてきたが、家族を犠牲にした。
結局、家族は離散している。
唯一同居している、ひきこもり歴がある24歳の次男は、昨年仕事を辞めて半年以上も職探しをしているが、未だに仕事が見つからない。
新型コロナウイルス禍で不況になり、職探しも大変であるが、何とか今年中には就職させたい。
次男は昨年車の免許を取得したので、今は私が同乗して、運転の練習をしている。
俺も来月には59歳になる。
これからの人生をどうするのかを考える。
定年退職後は悠々自適の生活など無理であろう。
別居している女房にも毎月10万円を送らねばならない。
5年前に別居したばかりのときには、発達障害を持ち大卒後働き始めた長男も同居していた。
しかし、長男は家を出ていってしまった。
私とは音信不通であるが、次男とは連絡を取っている。
職を転々としているとのことである。
俺に残された道は、次男を自立させること。
中学1年生の夏から19歳まで引きこもっていた。
障害者自立支援の施設に2年間通い、日商簿記2級などのいくつかの資格を取得して、そのまま施設に就職したが、障害者相手の補助金ビジネスに嫌気が差して、辞めてしまった。
これも彼の人生に良かったのか悪かったのかが分からない。
補助金搾取の障害者ビジネスは悪いに決まっている。
しかし、そんなところでしか採用されない次男の状況もある。
次男は、中卒、引きこもり歴あり、施設に通うために精神障害者として登録している。
施設の人に勧められたので障害者として登録したが、彼は障害者ではないと私は思っている。
他人と意思の疎通ができるし、いろいろな資格も取得できるほどの知識のインプットやスキルのアウトプットはできる。
家庭と仕事が車輪の両輪でしっかり回って人生がうまくいくと思うのだが、家庭は八方塞がりで止まっている。
何とか仕事が回っているので人生が進めてはいるのだが、虚しい毎日を送っている。
家族に対してのせめてもの償いで、次男を自立させることが私の使命である。