私の尊敬する上司が14年前に退職する際に言った言葉が気になる。
「定年退職して死ぬまでに5000万円のお金があれば安心です。」
上司は50歳で大手自動車メーカーを早期退職をして、セカンドキャリアとして就職をしてきた。
その当時はかなりの割り増し退職金があったと言っていた。
60歳で定年退職をして、山梨県の八ヶ岳のふもとに別荘を建てて住んでいる。
自分もその歳に近づいているが、5000万円の貯金はない。
私のように3回も転職していると、退職金は微々たるものである。
私の定年は65歳。
役職定年は60歳。
あと3年半で役職定年になる。
定年まで8年半である。
私は、30歳代、40歳代は家族や自分の時間を犠牲にして我武者羅に働いた。
両親とは喧嘩別れをして、故郷を飛び出し、新聞配達から始めて、3年浪人をして大学に入学し、3回転職して、現在に至っている。
未だに故郷の実家には帰っていない。
妻が別居し、長男が家を出て、次男との2人暮らし。
中1から引きこもりの次男とは、妻が別居してから真剣に向き合うようになった。
いろいろな施設に連れて行った。
いろいろな人にお世話になり、今通っている施設には1年半お世話になっている。
いろいろな資格も取得でき、何とか就職できる兆しは見えてきた。
自分の人生はどうだったのかと考えるようになってきた。
家族が離散してからは、だいぶ私の性格も暗くなった気がする。
明るいふりをすることが多いが、いつも心におもりを乗せているようだ。
こんな人生でもこの歳になると「意味付け」をしたくなる。
要するに、「自分の人生は良かった」と思いたい。
少なくとも、これから死ぬまでの人生は良かったと思いたい。
だからこそ、残された人生は何をやるかを迷う。
今の仕事を続けていたら何も変わらない。
だかこそ最後の挑戦をしたいと思う。
人生に悔いを残したくないから。